ベトナムオフショア開発・課題と解決方法

経営者の決断

オフショア開発を行う目的として、以下の 点が挙げられます。


  • コストの削減
  • 能力のある技術者の確保
  • マーケットの拡大
  • 短期間に大量のリソースの確保

以上のうち、コストの削減は、オフショア開発 コスト削減と言っていいほど重視されています。しかし、 オフショア開発ですぐコストメリットが出るというケースはそれほど多くありません。既存のシステムの改 修や機能追加をオフショア開発でやろうとすると、調査や改修方法の模索に工数がかかってしまうため、 そのシステムを開発した日本のエンジニアに任せる方が安いというケースもあります。


オフショア開発に成功した企業の多くは、経営者やリーダがオフショア開発という事業を立ち上げる覚 悟で、オフショア開発要員をアサインし、長期的視点で育成しています。特に、中小企業の場合は、大 企業と違って、オフショア開発の推進部隊や専任幹部がいないのが一般的です。そのため、経営者が リーダーシップを発揮して、調整や指導を行う必要があります。


積極的なコミュニケーション

オフショア開発を行う決断をして実際にプロジェクトが動き出した後、プロジェクトの成功のために最も 重要なことは、相互のコミュニケーションです。その目的として、以下の2点が挙げられます。


① 開発者にシステムを深く理解させる。


② 相互の考え方や疑問を理解する。


中小企業の場合、仕様を細かく書く余裕がほとんどありません。しかも、プロジェクトの時間が短く、途 中で仕様を変更したりする案件が多いのです。長い付き合いであれば、細かく説明しなくても暗黙の了 解ということもありますが、オフショア開発を始める段階では、仕様書に書ききれないことや仕様変更の 背景等を十分説明して、開発者に理解してもらうことが必要です。


オフショア開発は、一回きりの取引で終わらせず、長期的な関係を築いて相互の信頼関係ができて初 めてうまく行きます。海の向こうで何が起こっているかお互いに想像しにくいので、積極的にコミュニ ケーションを取り、相互の理解と信頼関係を築くことが重要です。


BrSEの確保

ブリッジSE(BrSE)の仕事は、単に発注側の仕様書をオフショア側に伝え、オフショア側の状況を発注側 に報告するだけではありません。オフショア側と発注側の間に立ち、両者の状況を理解した上で調整を 行うことも必要です。そのため、BrSEは言語力、管理力、技術力等、種々のスキルが求められますが、 中でも理解力が最も重要です。理解力は言語力とよく間違われますが、必ずしも言語力=理解力では ありません。確かに、言語力がないと理解はできませんが、言語力が高くても理解できるとは限りませ ん。通訳や翻訳は、単に言葉を訳すだけでなく、相手が考えるロジックを理解して、話を整理した上で 相手に伝えることが必要です。


BrSEは依頼されたシテムの目的を理解し、仕様書に書き洩らされたことを見つけ、システムに落とし込 む必要があります。特に、中小企業の場合、仕様書を100%正しく書く時間がないので、オフショアに展 開する前に、BrSEがユーザの視点で仕様書をレビューして、問題点を発見する必要があります。また、 日本の発注者は、受注側のオフショア会社に日本のベンダーと同様の高い能力を求めます。求めたレ ベル以下の対応があると、非常識だと怒ってしまうこともあります。そうならないように、BrSEは、オフ ショア側の状況や考え方を日本側に説明して、理解・納得してもらうことも必要です。


ところで、多くの日本企業はBrSEの技術力を強く求めますが、一方で、技術力の高さは優秀なBrSEの 必須条件ではないと考える企業も少なくありません。なぜなら、多くの場合、オフショアチームの中には 技術力が高いメンバーがいて、技術的な課題は、BrSEが問題点を要領よく整理して彼らに伝えれば、 彼らがそれを解決することができるからです。


レビューによる問題点の期発見

ジャイル手法を使って作業を行いながら修正・改善すればいいという理由で、設計段階での詳細な レビューや各種パータンの考慮をしない依頼者もたまに見られます。いくらアジャイルと言っても、問題 発見が遅ければ遅いほど多くの手戻りが発生して、納期に影響を与えます。そのため、アジャイル手 法を採用する場合でも、できるだけ早くレビューを行い、問題を早期発見する心がけが必要です。